動詞の自/他は截然と二分されるものではなく、程度問題である。「再帰性」というのも「他動性」と同じように程度問題だと思う。そのことが再帰構文に多様な意味を与えている。本稿は日本語の再帰構文全体の認知レベルにおけるカテゴリーとしての統一性を探るために、『日本語基本動詞用法辞典』に載っている他動詞の用例を中心に分析して、日本語の他動詞文から再帰構文に変容したものの主要なパターンを提示した。それぞれの再帰構文について、「格関係」の観点から事態の再帰性がどのように認知されているのかを解明していくことを試みた。再帰性の実現パターンを提示した。また、再帰構文における主体、客体、動作主、経験主などの関係を明確にしたことによって、「を」格における再帰性のスキーマを探ってみたのである。