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【中图分类号】G64 【文献标识码】A 【文章编号】1009-9646(2009)02(a)-0194-01
ある日、?消えた日本語?(奥山益朗編東京堂出版H3年)という辞典を手に取ってばらばら捲くって[しだらない]という見出し語が目を止めた。[しだらない]は[だらしない]とどんな繋がりがあるのか、それを回って皮切りに調べていた。
本研究では、小型辞典と中型辞典を主な根拠として大型辞典も一、二冊を使った。小型は19冊、中型は5冊、大型は1冊を使った。
先ず、辞典の出版の年代順序によって並べて見ると、(昭和31年から平成9年まで)S40年代までの小型辞典では[しだらない]は一つの見出し語として、載っていて、語釈も割合に詳しい。でも、S40年代に入って[しだら]或いは[しだらない]は見出し語として全然見えないのである。代えって、各辞典では[だらし]或いは[だらしない]に対する語釈は段々詳しくなってくる。中型辞典はどれでも[しだら](しだらない)と[だらし](だらしない)に対して詳しく解釈している。だから、これから見れば、[しだら(ない)]はどうも古めかしくて、[だらし(ない)]はどうも現代的で、実生活でもよく使われているらしい。
語釈と使用例から考えれば、[しだら(ない)]にしろ、[だらし(ない)]にしろ、意味は二つ分けられている。一つは、態度、意気地、生き方、仕方への心の張りなどにけじめがない、しっかりしてない。[...市民の生活は依然として何のしだらもなく唯しゅうろうなるに過ぎず個人の覚醒せざる事は封建時代の昔と異なるところなきがごとし。](永井荷風[断腸亭日乗])この文を通してその当時の市民の生活振りを考えて、物質的にも貧乏で、前途にも無希望であったと分かって、やはり、生活の態度がしっかりしていなくて、精神的のけじめがなく、だらだらしていただろう。もう一つは、外観的の物事、装飾、秩序などにしまりがなくて、乱雑である。[だらしない服装]、[帯をだらしなく結び](仮名文章娘節用一中)などがある。
今、よく耳に入るのは[だらし(ない)]ではあるが、だからといって、[だらし(ない)]は現代から出たばかりの言葉とは言えないのである。なぜかというと、江戸時代の?浮世床.初上?でも[だらしない]を使ったからである。[何のだらしもねえくせに]。それでは、[だらし(ない)]はどこからきたのか、つまり、その語源である。使用された辞書では、[だらし(ない)]の語源について、すべて記述してあるわけではないが、あるのは以下の通りで:
(1)[しだら]の[し]と[だら]を逆にした語……《日本国語大辞典》
(2)[しだら]の倒語と言われる……《新明解国語辞典》第二版
(3)[しだら]の倒語と言われる……《新明解国語辞典》第三版
(4)[だらし]は[しだら]の倒語……《岩波国語辞典》第五版
(5)[しだら]の[し]と[だら]を逆にした語……《国語大辞典》
(6)[しだらない]の倒語として[だらしない]が生じた……《国語大辞典》
(7)[しだら]の[し]と[だら]を逆にした語……《三省堂国語辞典》第四版
(8)今、逆さにして、だらしなし ……《新編大言海》
(9)[しだらない]の倒語として[だらしない]が生じた……《新選国語辞典》
(10)[だらしない]は[しだらない]の転……《新選国語辞典》
(11)[しだら]の倒語という……《新選国語辞典》
(12)[だらし]は[しだら]の倒語と言われる ……《新明解国語辞典》
(13)[しだら]の倒語という……《広辞苑》第四版
以上の各解釈から見ると、[だらし]は[しだら]の倒語という説が強い。ところで、どういうことでこの倒語が生じたのであるか。因みに、倒語についても調べた。
大槻文彦薯[新編大言海]によると、
倒語~一つまり、逆さ言葉、一言を中断して、下を上にすること。
語路の便に起るものあり。鳥骨鶏(おこつけい)→おけっこう
山茶花(さんざか)→さざんか
晦(つごもり)→つもごり
戯れにするものもあり。蛤(はまぐり)→ぐりはま
逐電浪人(ちくでんろうにん)→(でんちくろうにん)
隠語に用いるものもあり。千秋楽(せんずらく) → せんずくら
是れ(これ) →れこ
素人(しろうと) →藤四郎(とうしろ)
[新明解国語辞典]第五版によると、
とうご…… [倒語]もとの言葉の構成を(一部)逆にした隠語。
例、これ→れこ、やど→どや、ばしょ→しょば、しろうと→とうしろ
記憶の誤りや、発音の都合上、言葉の一部の順序が入れ代わってできた語。幼児語や、方言に多い。
例、ちゃがま→ちゃまが、つもごり→つごもり、たね→ねた
エレベーター→エベレーターなど。
[日本国語大辞典]によると、
倒語…… 発音の順序を逆さにした言葉。
例、たね→ねた、これ→れこなど。
また、さかさことば、さかしまことば。
そのほか、[国語学研究事典]によると、隠語と俗語の中に倒語がある。[民間語源説]という解釈欄でも【...誰でも好きなものの意で[すき]の倒語[きす]で酒を示すなどの隠語も...】。[日本書記]神代巻に[倒語]という例がある。
[日本書記]神代巻上77ページ右から五行目
可美葦牙彦尊とまうす
以上から見ると、一口、倒語といっても色々あるのである。それでは、[だらし(ない)]は[しだら(ない)]とどんな関係にあるのか。語源から考えれば以下のことが分かった。
[しだら]の語源については、[じだらく(自堕落)]からという説のほか、語修多羅(秩序の意)からとする説もある。後に[だらしない]という形が生じて、両形併用されたらしい。方言:宮城県新潟県長野県?日本国語大辞典?による。
以上まとめて考えれば:
([しだら]は方言か俗語)
しだら(秩序の意)→だらし(ない)→併用
([だらし]は共通語)
[しだら]は方言か俗語として限られてあまり使われなくなる
→だらし(ない)
[だらし]は共通語としてもっと盛んに使われてくる
という経緯を設定して、両方のつながりが分かり、そして、[しだら]最初の単純な一意から段々転換し、広く使われているうちに意味も多くなってくる。
ある日、?消えた日本語?(奥山益朗編東京堂出版H3年)という辞典を手に取ってばらばら捲くって[しだらない]という見出し語が目を止めた。[しだらない]は[だらしない]とどんな繋がりがあるのか、それを回って皮切りに調べていた。
本研究では、小型辞典と中型辞典を主な根拠として大型辞典も一、二冊を使った。小型は19冊、中型は5冊、大型は1冊を使った。
先ず、辞典の出版の年代順序によって並べて見ると、(昭和31年から平成9年まで)S40年代までの小型辞典では[しだらない]は一つの見出し語として、載っていて、語釈も割合に詳しい。でも、S40年代に入って[しだら]或いは[しだらない]は見出し語として全然見えないのである。代えって、各辞典では[だらし]或いは[だらしない]に対する語釈は段々詳しくなってくる。中型辞典はどれでも[しだら](しだらない)と[だらし](だらしない)に対して詳しく解釈している。だから、これから見れば、[しだら(ない)]はどうも古めかしくて、[だらし(ない)]はどうも現代的で、実生活でもよく使われているらしい。
語釈と使用例から考えれば、[しだら(ない)]にしろ、[だらし(ない)]にしろ、意味は二つ分けられている。一つは、態度、意気地、生き方、仕方への心の張りなどにけじめがない、しっかりしてない。[...市民の生活は依然として何のしだらもなく唯しゅうろうなるに過ぎず個人の覚醒せざる事は封建時代の昔と異なるところなきがごとし。](永井荷風[断腸亭日乗])この文を通してその当時の市民の生活振りを考えて、物質的にも貧乏で、前途にも無希望であったと分かって、やはり、生活の態度がしっかりしていなくて、精神的のけじめがなく、だらだらしていただろう。もう一つは、外観的の物事、装飾、秩序などにしまりがなくて、乱雑である。[だらしない服装]、[帯をだらしなく結び](仮名文章娘節用一中)などがある。
今、よく耳に入るのは[だらし(ない)]ではあるが、だからといって、[だらし(ない)]は現代から出たばかりの言葉とは言えないのである。なぜかというと、江戸時代の?浮世床.初上?でも[だらしない]を使ったからである。[何のだらしもねえくせに]。それでは、[だらし(ない)]はどこからきたのか、つまり、その語源である。使用された辞書では、[だらし(ない)]の語源について、すべて記述してあるわけではないが、あるのは以下の通りで:
(1)[しだら]の[し]と[だら]を逆にした語……《日本国語大辞典》
(2)[しだら]の倒語と言われる……《新明解国語辞典》第二版
(3)[しだら]の倒語と言われる……《新明解国語辞典》第三版
(4)[だらし]は[しだら]の倒語……《岩波国語辞典》第五版
(5)[しだら]の[し]と[だら]を逆にした語……《国語大辞典》
(6)[しだらない]の倒語として[だらしない]が生じた……《国語大辞典》
(7)[しだら]の[し]と[だら]を逆にした語……《三省堂国語辞典》第四版
(8)今、逆さにして、だらしなし ……《新編大言海》
(9)[しだらない]の倒語として[だらしない]が生じた……《新選国語辞典》
(10)[だらしない]は[しだらない]の転……《新選国語辞典》
(11)[しだら]の倒語という……《新選国語辞典》
(12)[だらし]は[しだら]の倒語と言われる ……《新明解国語辞典》
(13)[しだら]の倒語という……《広辞苑》第四版
以上の各解釈から見ると、[だらし]は[しだら]の倒語という説が強い。ところで、どういうことでこの倒語が生じたのであるか。因みに、倒語についても調べた。
大槻文彦薯[新編大言海]によると、
倒語~一つまり、逆さ言葉、一言を中断して、下を上にすること。
語路の便に起るものあり。鳥骨鶏(おこつけい)→おけっこう
山茶花(さんざか)→さざんか
晦(つごもり)→つもごり
戯れにするものもあり。蛤(はまぐり)→ぐりはま
逐電浪人(ちくでんろうにん)→(でんちくろうにん)
隠語に用いるものもあり。千秋楽(せんずらく) → せんずくら
是れ(これ) →れこ
素人(しろうと) →藤四郎(とうしろ)
[新明解国語辞典]第五版によると、
とうご…… [倒語]もとの言葉の構成を(一部)逆にした隠語。
例、これ→れこ、やど→どや、ばしょ→しょば、しろうと→とうしろ
記憶の誤りや、発音の都合上、言葉の一部の順序が入れ代わってできた語。幼児語や、方言に多い。
例、ちゃがま→ちゃまが、つもごり→つごもり、たね→ねた
エレベーター→エベレーターなど。
[日本国語大辞典]によると、
倒語…… 発音の順序を逆さにした言葉。
例、たね→ねた、これ→れこなど。
また、さかさことば、さかしまことば。
そのほか、[国語学研究事典]によると、隠語と俗語の中に倒語がある。[民間語源説]という解釈欄でも【...誰でも好きなものの意で[すき]の倒語[きす]で酒を示すなどの隠語も...】。[日本書記]神代巻に[倒語]という例がある。
[日本書記]神代巻上77ページ右から五行目
可美葦牙彦尊とまうす
以上から見ると、一口、倒語といっても色々あるのである。それでは、[だらし(ない)]は[しだら(ない)]とどんな関係にあるのか。語源から考えれば以下のことが分かった。
[しだら]の語源については、[じだらく(自堕落)]からという説のほか、語修多羅(秩序の意)からとする説もある。後に[だらしない]という形が生じて、両形併用されたらしい。方言:宮城県新潟県長野県?日本国語大辞典?による。
以上まとめて考えれば:
([しだら]は方言か俗語)
しだら(秩序の意)→だらし(ない)→併用
([だらし]は共通語)
[しだら]は方言か俗語として限られてあまり使われなくなる
→だらし(ない)
[だらし]は共通語としてもっと盛んに使われてくる
という経緯を設定して、両方のつながりが分かり、そして、[しだら]最初の単純な一意から段々転換し、広く使われているうちに意味も多くなってくる。